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悪路爆走編 (2002/8/19〜8/21)


●モンテベルデへの道

崖崩れ  紹介が遅れたが、ここで今回我々が世話になっているレンタカーについて簡単に述べておこう。「雨期のコスタリカで運転する場合には、必ず4WDにすること」というガイドブックの忠告に忠実に従い、今回我々が借りたのは、なんとダイハツのテリオスである。ちなみにCentralAmerica.comが最初の見積りで指定してきたのは、トヨタのRav4だった。「もっと安いクラスでいい」と言ったらテリオスになったのだ。このことからもわかる通り、コスタリカで圧倒的なシェアを持っているのは日本車である。見たところ、大きく離れて二位につけているのは韓国車のようだ。ドイツ車もたまに見かけるが、高級なやつは盗難対策とかが大変なんだろう。アメ車はめったに見ない。あと、どこの車だか識別するのも困難なぐらい古くてボロボロの車もいっぱい走っている。それはともかく、山間部にやってくると、テリオスは非常にポピュラーな車種の一つのようで、あちこちでしょっちゅう見かける。4WDは必須だし(しかしホントのジモティーは普通のFF車で凄い道をバンバンとばしていく)、道もあんまり広くないので、これぐらいの車がちょうどいいのだと思う。タバコンリゾートでは、駐車場に停めて隣を見たら同じ色のテリオスで、「偶然だねー」と言っていたら、次の日の朝に隣に停まっていたのは、違う色のテリオスだった。

 さて、そのテリオスに乗ってタバコンリゾートを出発。今日の目的地はモンテベルデである。準備編の地図を見てもらえばわかるが、タバコンとモンテベルデは割と近い。しかしその間にはアレナル山があって直接ぶっちぎることはできず、アレナル湖という湖のまわりをぐるっと迂回していかなければならない。タバコンを出発してほどなく湖畔に出ると、しばらくは湖に沿って進む。と、いきなり想像を絶する光景が!右上の写真がそれである。なんと崖崩れではないか。しかし、よく見ると車一台分ぐらいの幅だけアスファルトが残っている。考えてみると、さっきから随分対向車とすれ違ったし、我々の前にも車がいたはずだ。どうやら彼等はなんら気にすることなくこの道を通っていったらしい。しからば我々も、、、ちょっとドキドキしたが、通ってしまえばなんのその。こうして写真を撮る余裕すらある。ちなみに走っている人は別に崖崩れから逃げているわけではなく、この惨状の写真を撮って帰ってくるところだったりする。

 もうしばらく走ると、今度は濁流が道を遮っている。そういえば昨夜の雨は凄かったしなあ。濁流の幅は10mぐらいだろうか。しかしここも幾多の車が平然と通ったところなので、おそるおそる通ってしまう。他にもそんなところがいくつかあったが、さすがテリオス。早くも4WDの真価を発揮している。その後、アレナルという小さな街の路肩に車を停め、持参のパンで昼食。しばらくは良い道だったが、ティラランという街を過ぎると再びダート道になる。このあたりは、ガイドブックにも悪賂と書かれていたので覚悟を決めていたが、山の稜線沿いを走るせいか、ダートではあっても雨の影響が少なく、揺れさえ我慢すればまあなんとか走れる道だった。こうして約4時間のドライブの後、サンタ・エレナという街に着いた。

 この街は、目的地モンテベルデの玄関口ともいえる所で、ここまで来れば着いたも同然。と思ったら道端の少年に声をかけられる。「どこへ行くの?モンテベルデへの道は…」親切に教えてくれた後で、「500コロンください」。まあ観光地では良くある話だ。150円ぐらいなのでまあいいか。ただし、この少年がくれた地図の通りに行ったら、その道はちょっと遠回りだった(しっかり仕事しろよ>少年)。ともかくそこから更に15分程度で、今日の宿であるモンテベルデ・ロッジに無事到着した。チェックインの後、ちょっくら偵察も兼ねてサンタ・エレナの街まで引き返して買い出し。ちょっとしたお土産を買って宿に戻ると、程なく夕食の時間となった。今日はそのまま宿のレストランで食べることにするが、ここも前日のタバコンリゾートと同様、そこそこ西洋化された無難ながらも美味しい食事であった。その後はジャクジーで運転の疲れをとって就寝。明日は早起きなのだ。

●モンテベルデ・クラウド・フォレスト

森林公園  明けて8月20日、本日訪問予定の"Monteverde National Cloud Forest Reserve"は、我々のガイドブックでも数少ない三ツ星がつけられていることからもわかる通り、コスタリカ有数の観光名所である。前日にホテルの受付で聞いたら、「朝7時半には行った方がいいよ」とのことなので、しっかり早起きして出発する。ホテルからは車で20分ぐらいである。ここもなかなかの悪路だが、慣れてきたのか平然と運転する。さて、このCloud Forest Reserveというのは何かというと、まあ要するに森林公園である。森の中にいくつか遊歩道があって、そこを歩くといろんな動物が見られたり、景色が綺麗だったりするわけだ。ガイドを雇って行くと「あそこに○○鳥がいます」などといろいろ教えてくれるらしいが、マイペース好きの我々は、自分たちだけで歩くことにする。ただしガイド料以外にもしっかり入場料は取られる(英会話学校の学生証で半額になってラッキー)。ところが、ゲートを入ってマイペースで歩いていると、ガイドに連れられた一団としばしば遭遇してしまい、図らずもガイドの説明を立ち聞きしてしまったりすることになる。鳥がいるのがわかったのはよかったのだが、なんだかズルしてるみたいで居心地が悪いので、一緒にならないよう歩くペースを調整する。のんびり歩いて一時間ほどでちょっとした稜線に到達し、そこから尾根伝いに少し歩くと展望台に到着。写真はその展望台を、やや戻ったところから撮ったものである。朝靄につつまれてあんまり遠くの景色は見えないのだが、むしろそれがいい感じだ。なんだか良くわからないが秘境に来たような気分がしてくる。ここで発見した案内板によると、この尾根は"Continental Devide"と呼ばれているらしい。要するに大陸の分水嶺ということで、ここより手前に降った雨は、川を伝って大平洋に流れ込む。そして、ここから向こうに降った雨は、カリブ海を経て大西洋へと到達するというわけだ。そう聞くと、なんだか凄いところにいるような気がするから人間なんて単純なもんだ。

 これ以上先へ行ってもきりがないので、ゲートの方へ引き返す。歩いているうちに陽が高くなってきて、朝靄も薄くなってくる。うーむ。確かに靄があったときの方が趣きがあったなあ。早起きせよという指令は間違っていなかったのだろう。ともかく一旦ゲートまで戻って一時退場し、カフェテリアで昼食。いかにも観光地の施設内にありそうな簡単なカフェテリアだったが、ここで食べたハンバーガーがまた美味で、コスタリカの食事への評価が更に高くなった。その後は、再入場して午前とは違った遊歩道を歩いたりして、午後3時頃まで散策を楽しんだ。ずいぶん歩いてかなり疲れたんですけど。

 さて帰ろうかというところで、いきなり雨。雨期だから夕方にスコールが来るのは普通なんだろうが、ホテルへ戻る道を運転していると、凄まじい勢いになってくる。でも現地の人は平然と傘もささずに歩いてたりする(車に乗せてあげれば良かったかなあ)。ともかく、散策中に降られなかったのは日頃の行ないのなせる業であろうと自画自賛しつつホテルに着き、さっそく夕食の検討に入る。ガイドブックで目星をつけておいたレストランに行こうと思うのだが、なにしろこの雨では外に出る気がしない。しょーがないから今日もホテル内ですませようかねえ、と1時間ぐらいウダウダしていたら、雨が止んできた。よし行くぞ、というわけで「エル・サポ・ドラド」というレストランに向かう。車で5分ぐらいなんだけど、通りから奥まったところにあって、真っ暗なダート道を行くのがちょっと不安だった。でも着いてみると綺麗なホテル兼レストランで、美味しいイタリア料理を満喫できた。途中でまた雨が強くなってきて、おまけにこのレストランは併設のホテルとは別棟になっているらしく、雨ガッパをかぶった宿泊客が次々とズブ濡れで現れるのには笑ったが、幸い我々が帰る頃には再び小降りになっていた。

 さて、実はここから先の予定は何にも決まっていない。山方面はかなり満喫したので、次は海の方へ行ってみようかというぐらいである。ガイドブックを熟読して手ごろなビーチを探す。で、ビーチ全体としても星二つのモンテズマというところにあり、これまた星二つの“エル・サノ・バナーノ”というホテルに目をつけた(ちなみに後で気付いたのだが「バナーノ」とはバナナのことである)。さっそく予約の電話をかけてみることにする。うーむ、これまで泊まったようなメジャーホテルでもないようだし、英語が通じなかったらどうしよう。「マニャーナ、アビタシオン、ドス・ペルソネ」で通じるかなあ、なんて思っていたが、どうにか英語のできる人が出て一安心。残念ながらバンガローは予約でいっぱいだったが、普通のホテルの部屋を予約することができた。こうしてモンテベルデ2泊目の夜はつつがなく過ぎていった。

●山から海へ

ホテルの裏庭  朝。前日とは違って時間に余裕があるので、のんびり起きてホテルのレストランで朝食を取る。他のお客さんはやはり早起きして観光に出かけたようで、心なしか取り残されたような雰囲気である。それからホテルの裏庭を散歩。と思ったら、やけに立派な遊歩道があって、ずんずんと渓谷の方へ歩いていってしまった。このままいったら何時間のハイキングコースになってしまうのだろう、と心配になりそうなところでホテル側に戻る道を発見。戻ってきたところには綺麗な展望台があった(右の写真)。うーむ、モンテベルデロッジ、侮り難し。

 10時過ぎにようやくチェックアウトして、次の目的地モンテズマへのドライブ開始である。まずは一時間ほど山道を走ってハイウェイに出なければならない。昨日に続いて激しいダート道であるが、すっかり慣れてしまってどうってこともない。しばらく行くと前方に海が見えてきて(最初は前に通ったアレナル湖かと思ったが、地図で方向を確認すると海だった)、なかなかの眺望である。小一時間走ったところで、道が綺麗になり始めたかなあ、と思ったら、いきなり舗装道路になった。あとは楽勝で、10分後にはハイウェイに合流、更に20分程度で港町・プンタレナスに到着した。港町というのは、どこの国に行っても独特の雰囲気があるものだが、ここプンタレナスもその例に洩れない。タバコンやモンテベルデのいかにも観光地然とした雰囲気とは違い、生活の臭いがする。そんな中を走り、細い半島の先端にあるフェリーターミナルに着いた。そこにはフェリーを待っている車の列と、例のごとく怪しいおっちゃん。「船に乗るんだったらこの列の後ろの車を停めて、運転手だけあそこに行ってチケットを買うんじゃ。ただしあそこにいる青いシャツの男は泥棒だから気をつけな」みたいなことを、訛りのある英語で言う。このおっちゃんこそいかにも怪しいんだが、果たして信じてよいことやら。しかし他の車の人もみんなそうしているようなので、とにかく列に車を停めてチケットを買いにいく。ちょうどよい時間に出るフェリーがあり、チケットを買って車に戻ったらもう乗船開始である。結局よくわからなかったのだが、どうやら「青いシャツの男」は単なる商売仇だったらしい(おっちゃんにはちゃっかりチップを要求された)。そんでもって12時半に出航。対岸のパケラまで約1時間半の船旅である。船内でハンバーガーなど買って昼食にしたが、これはさすがにたいした味ではなかった。甲板に出ると、対岸はすぐそこに見えているのだが、船はみるみる速度を落とし、時間調整でもしているかのように進んで行く。で結局は定刻にパケラ着。ここからモンテズマまでは40分ぐらいで着くはずである。案の定途中から舗装は途切れてしまったが、それほど悲惨な道でもなく、午後3時前にはモンテズマの街に到着したのであった。


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