ミネラルベイスン

第3日:スノーバード (2002/12/26)


●14年ごしのリベンジ

 スノーベイスンでの足慣らしを終えて、いよいよ今日は、14年前に素通りしたスノーバードです。ホテルからは車で40分ぐらいですが、途中でスポーツ屋さんに寄っていくことにします。昨夜のうちに電話帳などで調べた結果、Canyon Sportsというスポーツ屋さんが、市内に何軒かの支店を出していて、スキー用品もいろいろ取り揃えていそうだということがわかりました。さっそくその一つに寄り、ストックを購入します。安くて良さそうなストックを見つけてまずは順調な滑り出し。ついでに朝食を取り、それからもう少し走ると、まもなくスノーバードに着きました。14年前に来た頃は、すべてを新しく作ったばかりの最新鋭スキー場といった感じでしたが、さすがに14年もたつと変わるものです。その間大きな改装などもしていないのか、むしろ伝統ある古株のスキー場という雰囲気で、駐車場も入りくんでいましたが、とりあえず停められる場所が見つかってホッと一息。さっそくゲレンデに向かいます。

 ここスノーバードは、このあたりのスキー場の中でも、特に上級コースが充実していることで有名です。レイアウトはと言うと、メインのロープウェイがある側の斜面に加えて、山頂から反対側に降りていくMineral Basinというエリアが数年前にオープンしました。さらにそのMineral Basinの先で、隣りのアルタスキー場と繋がっていますが、アルタは14年前に滑ったので今回は行く気はありません。メインの斜面は標高差が950mぐらいあり、しかもほとんどが上級コースです。Mineral Basinはオープンなボウル状のゲレンデですが、こちらも上中級コースが中心です。

ミネラルベイスン  さて、我々が車を停めたのは、スキーセンターからちょっと右に離れたところで、わずかばかりの初級コースが集まっているエリアでもあります。ここから直接ロープウェイには乗れないので、まずはクワッドリフトで山頂までの半分ぐらい登り、そこから初中級コースを降りながらスキーセンターの方へ移動していきました。このあたりは木も多く、ちょっと日本のスキー場に似た雰囲気です。ただ、スキー場じたいが急峻な谷に面したところにあり、しかもその谷を挟んだ反対側の山が「いかにもロッキー山脈」という感じのゴツゴツした岩ばかりなので、普通のコースを滑っていてもちょっと圧迫感があります。そんなコースを経てスキーセンターに着くと、さっそくロープウェイに乗り、一気に山頂へ。山頂の標高は約3,300mあり、このあたりの山の中でもちょっと上に出た感じです。さっきまでの岩に囲まれた感じから、一気に眺望が開け、しかもその反対側に真っ白に広がるMineral Basinのゲレンデが目に入ってきます。風が強くてのんびり景色を見てもいられないのですが、さあいよいよスノーバードに来たぞ、という感じになってきました。

 写真はMineral Basinの入口です。ボウル状になっていますので、どっちに滑っていっても同じボウルの底に着くようにできています。そしてこの色が難度を表わしているのですが、緑が初級、青が中級、黒が上級ということで、圧倒的に上級コースが多いのがわかりますね。

 まずは上級コースと中級コースを織りまぜつつ、無難なルートで下まで降ります。Mineral Basin専用のリフトで戻ってくると、次はもう少しチャレンジングなコースへ。行き着くところは同じなので、同行者がいても、それぞれのレベルに合わせたコースにばらけて滑ることができるのがいいですね。私はというと、開放的な雰囲気と、雪質の良さと、それに急斜面ありコブありの多彩なコースにすっかり舞い上がってしまい、上級コースをガンガン滑りまくってしまいました。とはいえ一日中ここだけ滑っているのも勿体ないので、頃合を見計らってメインのコースに戻ることにしました。

●標高3000mに玉砕

ロープウェイ  山頂から駐車場側に戻るには、大きくわけて二つのコースがあります。ひとつは今朝われわれが最初に乗ったリフトのところに合流するコースで、どちらかというと(あくまで比較級ですが)楽なコースです。そしてもうひとつは、スキーセンターへ向けて一気に降りて行くコースで、こちらの方がかなり斜度がきついようです。とはいえ中級で巻いていくコースも併設されているようなので、こちらのコースで降りることにしました。山頂から尾根づたいにちょっと降りると、そこから直角に曲がって谷に入っていきます。これまでの開放的なゲレンデから、再び手強い谷に突入という感じで、手に負えないほどの急斜面こそないものの、一気に降りてスキーセンターに着いたときには、かなりヘロヘロの状態でした。

 ここでレストランに入り昼食にします。カフェテリアが見当たらなかったので、普通のレストランに入りました。ちょっとゆっくりめの食事をとり、午後の方針を検討します。その結果、私は魅力的な急斜面をたくさん滑りたい、妻は初中級コースをじっくり滑りたいということで、帰るまで別行動ということになりました。例のごとく私が先にレストランを出て、さっそくロープウェイに乗り込みます。ロープウェイの車内でとびきり手応えのありそうなコースに目をつけておき、山頂に着くとそそくさとコースに向かいます。これから向かうのは、◆◆であらわされる最上級者限定コース。普通の上級コースが◆で表わされるのに対し、黒い菱形が二つ並ぶことから「ダブル・ダイヤモンド」などと呼ばれます。スノーバードにはそんなダブル・ダイヤモンドが軽く10個以上あるのですが、その中でも特に凄そうなところです。私は実は最上級者でも何でもなくて、ただの怖いもの知らずのSAJ2級スキーヤーに過ぎないのですが、やっぱスノーバードに来たらこういうところを滑りたいよねー、ってな感じです。

 尾根づたいに滑っているうちはまだ良かったのですが、そこから谷へ向かっていくところが凄かった。斜度は軽く40度はあったと思います。さすがに「滑る」というより「降りる」という感じでしたが、なんとか壁を降りきったところで普通の上級コースに合流、そこからは普通に滑ってスキーセンターに戻ります。さっきレストランを出てから40分ぐらいかかったでしょうか。時間はまだ2時ぐらいですから、頑張ればあと2周はできるかなあ、なんて思いながら再びロープウェイに乗り込みました。とはいえ、さすがに疲れてきたので、同じダブルダイヤモンドでも、見た感じちょっと楽そうなところを選んで午後2本目の滑走開始です。ところが今回はやたらと息が切れます。3ターンもすると息が続かなくなってひと休み、また2ターンしてひと休み、なんてことを続けているうちに、急斜面の途中でどうにも力が出なくなってしまいました。何だか頭痛もしてきました。これはちょっと休まなくてはと思い、急斜面に腰を降ろして10分ぐらい待ったのですが、あまり良くなる気配も見えません。しょうがないので、普通の上級コースに向かってなるべく楽な道をトラバースし、どうにかスキーセンターまで戻ってきました。

 ベンチでしばらく休みましたが、頭が痛いのが直りません。ここでようやく気付きました。山頂の標高は3,300m、昨日から最上級コースばかりガンガン滑り、疲れのピークとともに高山病になってしまったようです。とにかく今日はもう滑れそうにないので、そのまま集合時間まで休憩。初級コースから戻ってきた妻と合流すると、シャトルバスで駐車場へ行き、そのままホテルに戻ることにしました。運転できるのは私だけなので、途中で休みながら1時間近くかけてホテルに戻り、そのままベッドに直行です。夕食は簡単なルームサービスで、あとはひたすら眠りました。こうして14年ごしのリベンジは、思わぬ返り討ちにあって幕を閉じることになってしまったのでした。


 第4日:ザ・キャニオンズに進む


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