第八日

2015/2/22

第八日の行程

国土地理院発行の地理院地図(電子国土Web) を元に加工(2015)

旅の終わり方はきちんと考えていなかったが、そろそろ東京に帰ろうかという気になってきた。

何と言っても天気予報が最悪である。今日から明日にかけて雨が降るらしい。風も吹いて大荒れという予想である。そういう予報を見ていたので、昨日の夜の段階でどうにも行動予定が定まらず、どうせ早起きする必要もないと思って、ぐずぐずと夜更かしをしてしまった。

ちなみに今夜の宿は三重県の亀山に取った。東京までの中間点という感じである。本当に天気が最悪なら、今日はそこまでの移動だけでもいいかと思う。神戸の六甲山スノーパークに寄っていくことも考えたが、どうもあまり気が進まない。どうしようと思いながら朝もぐずぐずしていたら、チェックアウトした時には8時45分になっていた。

とりあえず国道2号を東に向かって進む。途中、お土産でも買っていこうと思い、岡山ブルーラインに入って「道の駅一本松展望園」に寄る。ミニ鉄道公園があるらしく、小さい子供を連れた家族が様子を伺っているが、雨が降っていてあまり遊べそうにない。とりあえずお土産を買って再び運転に戻ったのだが、このあたりから微妙に天気が良くなってきた。決して晴れているというわけではないのだが、小雨が降ったり止んだりで、大荒れというのとはちょっと違う。これならちょっとはまともに滑れるんじゃないかと、微妙な下心が出てきた。ちゃんとしたスキー場に寄っていくとしたら、候補となるのは兵庫県のハチ北や神鍋あたりである。どうせ時間はあるのだから、駄目で元々、とりあえず北の方を廻ってみようかという気になってきた。

カーナビの画面を見ていると、ずっと国道2号を行くより、途中から北に逸れた方が早そうに思える。このあたり、ちゃんとした予定を立てずに運転しながら考えているので、地理感覚はかなりいい加減である。上郡のあたりで国道を離れて適当に走っていたら、播磨科学公園都市とかいう標識が出てきた。話には聞いていたSpring-8というのはこのあたりだったのかと納得する。そこから北に向かい、高速の入口が近づいてきたあたりで、何だかおかしいことに気付いた。ナビの画面を見ると、北に向かう高速は「鳥取自動車道」となっている。これから行きたいのは播但連絡道ではなかったか。この時点で、道を勘違いしていたことにやっと気付く。しょうがないので佐用ICから中国道に乗り、福崎ICで播但道に入ってそのあと最初のサービスエリアである市川SAで休憩することにした。

Snow

だいたい運転しながら考えるからこういうことになるのである。ちゃんと車を停めて、地図を見ながら計画を立てるべきなのだ。遅ればせながら今後の計画についてじっくり考える。よくよく見ると、それほど遠回りをしたというわけでもなく、まだ時間は十分にある。依然として雨もほとんど降っていない。これから向かうエリアとしては、ハチ高原・ハチ北あたりか、あるいは神鍋かというところである。ハチ方面には多くのスキー場があり、今日だけで滑りきるのは到底無理である。一方の神鍋も、以前は随分たくさんのスキー場があったところだが、休業してしまったところも多く、今では3つのスキー場しか残っていないらしい。となると今日だけで完全制覇の目が出てくる。そういうわけで、神鍋に向かうことにした。

道の状況が良さそうなので、早めに高速を降りて下道で行く。途中、日本のマチュピチュこと竹田城の近くを通るが、看板によると冬の間は観覧できないらしい。そのままナビの指示通り進むと、国道を離れて予想外の道をいろいろと連れ回されるが、これがなかなか良い道である。途中で国道312号に戻り、江原からは国道482号に入って高原への登り坂を走る。

さて、私の長年の愛読書である「スキーマップル'97」では、「神鍋高原スキー場」が6つのスキー場の集合体として紹介されている。6つとは、名色・万場・奥神鍋・アルペンローズ・アップかんなべ・大岡山である。しかし最近の資料を見ると、名色・アルペンローズ・大岡山の3スキー場は、既に休業してしまったらしい。とはいえ残念なニュースばかりでもない。スキーマップルでは完全に別のスキー場として紹介されている万場と奥神鍋であるが、その後両者を結ぶリフトとコースが作られ、相互に滑り込みできるようになったらしいのだ。

万場

国道492号が高原らしい雰囲気になってきて、やがて万場スキー場の看板が現れる。国道を外れてしばらく走ると、左手にゲレンデのようなものが見えてきた。しかし営業している雰囲気ではない。どうやら数年前に休業してしまった名色スキー場らしい。遠目に見た感じではなかなか立派なゲレンデであるが、滑れないというのはもったいない。とにかくそのままもう少し走ると、今度は万場スキー場が見えてきた。勿論こちらはちゃんと営業している。

日曜日ということもあって駐車料金1,500円を取られるが、これは織り込み済みである。隣の奥神鍋スキー場と共通なので、午後券3,400円を購入する。雨は少しだけ降っているが、予報で言っていたほどの大荒れではない。まずは一番下の第1ペアリフトに乗ると、最初はゆったりと上るが、中間駅を過ぎてからはちょっと急になる。そのあと第2ペアリフト・第4ペアリフトと乗り継いで山頂へ。第4ペアリフトにも中間駅があった。

ここから四季の森コースというのを通って奥神鍋に滑り込む。連絡コース的な位置づけだが、なかなか良いコースだ。距離も長いし、前方には奥神鍋のメインコースが良く見える。このコースを滑り終えると奥神鍋の第5ペアリフト乗り場で、これに乗れば奥神鍋の山頂に上がることができる。

奥神鍋

奥神鍋スキー場の標高差は560m。立派なスキー場である。ちなみに近畿以西でこれ以上の標高差があるのは、ハチ北・ハチ高原・瑞穂ハイランドの3ヶ所だけだ。

雨も上がっていい感じになってきた。今朝までの心配は何だったのだろうか。山頂からは、神鍋高原とその向こうの山々が見えるが、これといって有名な山が見えるわけでもない。それでも、景色がちゃんと見えて雨にも濡れずに滑れるというだけで上出来である。山頂から2本あるコースのうち、弾丸コースというのは滑れないようだったので、栃の木コース〜ロマンスコース〜スーパーゲレンデと繋いで一気に麓まで降りた。スーパーゲレンデはバリエーションが多いので、その後リフト1本分だけ登ってもう一度滑る。それからリフト3本を乗り継いで、二度目の山頂へ。もう一度栃の木コースを滑ってから、連絡リフトである第6ペアリフトに乗って万場に戻ることにした。

万場だって標高差は450m、決して小さなスキー場ではない。奥神鍋に比べると、ひとつひとつのコースの幅が広いのが特徴だ。一番上の第4ペアリフト沿いに3つのコースがあるので、とりあえず全部滑る。その下の第2ペアリフト沿いも2本滑ってみた。特にこのあたりは、幅の広い斜面上で様々なコース取りができるという感じである。最後に一番下のファミリーゲレンデまで降りてくると、さすがにここは1種類のコースしかなく、そのまま駐車場に戻った。

アップかんなべ

万場の駐車場を出たのが3時40分であるが、アップかんなべはすぐそこだし、焦る必要もないだろう。実際、5分もしないうちにアップかんなべの駐車場に到着した。立派なクワッドリフトが1本と、その横に広がるゲレンデが見えるが、それだけのようだ。それなら1本でいいかと思い、リフト券を買ってクワッドリフトに乗った。山頂というよりは、小高い丘の上に登っていくようなリフトである。

ところが、丘の上まで行ったら違う景色が見えてきた。丘の反対側に向かって、短くて急なコースが降りている。これはリフト券をもう1枚買っておくべきだったかと思ったが、もう遅い。それにまあ、そちら側のゲレンデの全貌も、丘の上から一望すれば見えてしまう。そう思って納得し、正面のコースを滑って降りる。斜度の無い穏やかなコースであるが、右手を見ると、名色・万場・奥神鍋のゲレンデが綺麗に見える。こうして三つ並んでいるのを見ると、名色スキー場が休業してしまったことはつくづく残念に思う。

4時15分には駐車場に戻り、これで本日の滑走は終了である。まったくやる気のない状態で目覚めた割には、思いのほか有意義な一日であった。あとは三重県までのドライブである。

Snow

ナビの指示のままに裏道を通って、国道9号線に出る。ここからはひたすらこの道を進む。それほどスピードが出せる道ではないが、渋滞というほどのものも無い。福知山の町を抜け、徐々にあたりが暗くなってくる。京都縦貫道の丹波ICが現れたが、そろそろ食事にしたいこともあり、もうしばらく下道を行くことにする。結局そのまま亀岡の町まで走り、「餃子の王将」で夕食にした後、ガソリンスタンドに寄ってから高速に乗った。大山崎JCTで名神道を越え、そのまま京滋バイパスに入る。その後は草津田上から新名神に入り、甲賀土山ICで高速を降りた。本当はこの先の亀山スマートICまで高速で行ってしまえば楽なのだが、ちょっと遠回りになるので、峠越えを覚悟で国道1号線を行くことにした。鈴鹿峠近辺はカーブが多かったが、道路そのものは走りやすい。ただこのへんで霧が出てきたのにはちょっと閉口した。

午後9時ちょうどに、今日の宿泊先であるホテルエコノ亀山に到着。いかにも今風のシンプルで綺麗なビジネスホテルである。いよいよ残すところあと一日。明日の行先は既に心の中で決めてある。

本日の滑走: 3スキー場、リフト13本

本日の走行距離: 469km

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