スノーベイスン

第2日:スノーベイスン (2002/12/25)


●オリンピックといえば滑降でしょう

レンタカー  旅行2日目、今日の目的地はスノーベイスンです。ここソルトレイクシティエリアではあまり知られていない部類に属するスキー場ですが、ここに行くことに決めたのには理由があります。実は、2002年の冬季オリンピック・男女の滑降が行なわれたのが、他でもないこのスノーベイスンなのです。アルペンスキーの競技の中で、技巧性が表に出てテレビ受けしやすい回転などと違い、滑降というのはガンガンすっとばしているだけで単調に見えますが、自分で滑るとなれば話は違います。とにかく最低でも800m(男子の場合)の標高差が必要なわけで、滑降が行なわれるということは、すなわち滑り応えのあるロングランが約束されているということなのです。

 このスキー場、昔からちっぽけなものはあったのだと思いますが、オリンピックに向けて大々的に拡張を行なったようで、事実上新設スキー場のようなものです。場所が他のスキー場からちょっと離れたところにあるのが難点ですが、空港近くのヒルトンからだと、スノーバードやパークシティに行くのとそれほど違いません。ということでまずは初日はここで滑ることにしたわけです。

 朝食もとらずにホテルを出ると、車に荷物を積んで出発です。空港で借りたレンタカーは、ポンティアックのスポーツカー。ABSも付いて快適です。そのままハイウェイに乗ると、空港の横を通り抜け、北へ向かう道へと入ります。30分ほど走ったところでファーストフードを見つけて朝食にします。のんびりパンケーキなどを食べていると、外はチラホラと雪になってきました。そこから更に北に向かい、途中からはグングンと坂道をのぼって行きます。いかにも新しいスキー場らしい広い道を通り、スノーベイスンに着いたのは朝10時頃でした。

スノーベイスンのロッジ  予想通りにとても綺麗なスキーセンターです。さっそくリフト券を買い(実は見知らぬ人から余った券を一枚だけ安く譲ってもらった)、ついでに私のストックをレンタルしました。というのも、来る時の飛行機で板を預けたとき、一緒に入れておいたストックの片方が曲がってしまったのです。まあどうせ安物だったので買い替えればいいかと思ったのですが、昨日のソルトレイクシティではスキー道具を売っている店を見つけられなかったので、とりあえず今日はレンタルで凌ぐことにしたというわけです。

 朝食のときから降り始めていた雪は、かなりの強さになってきました。いきなり初日からこんな天気か、という気もしますが、考えてみたら、旅行の前半に降ってくれた方が、後半になっても良い雪を楽しめるというものです。ちなみに先週までの積雪情報では、このあたりもちょっと雪不足のようでしたが、ここ数日で随分と降ったようで、見回した限りあたり一面真っ白です。さあ、滑るぞー。

 ここスノーベイスンは、大きく分けて三つのエリアから成っています。アルファベットのNを思い浮かべてもらうと分かりやすいのですが、スキーセンターは右下の頂点。ここから左上に向かうゴンドラに乗ると、左上の頂点に出ます。そのまま左の方へまっすぐ下るエリアが"Strawberry"と呼ばれ、斜度のあまりない初中級者むけのロングコースが売りになっています。一方、登っていったゴンドラの下をそのまま戻ってくるコースの周辺は、"Needles"と呼ばれています。左右にいろいろと細々したコースがあったりして、一番普通のスキ−場っぽいエリアですね。そしてもう一つ、右の方にあるのが"John Paul"エリアで、オリンピックの滑降が行なわれたコースでもあります。もちろんそれぞれのエリアは何本ものコースに分かれ、同じところを滑るだけでもそうそう飽きないぐらいのバラエティがあるのですが。

●新雪のダウンヒル

 さて、まずは足慣らしという意味でも初級コースから攻めようということで、Strawberryエリアに向かいました。感じとしては、富良野のスピースコースあたりのような雰囲気です。やはり規模の割りには無名なスキー場なのか、クリスマスだというのに滑っている人をほとんど見かけません。おまけにここ数日の積雪で、下はフカフカ状態。いきなりとんでもなく恵まれた条件になってしまいました。確かに顔にあたる雪がちょっと冷たいのですが、それより何より久しぶりに味わうサラサラ雪とロングコースに大満足です。

 Strawberryエリアを滑ったら、再びこちら側の山頂に戻り、今度はNeedlesエリアに滑り込みます。そろそろお腹が空いてきたので、スタート地点に戻ってスキーセンターで昼食を取ろうということになりました。このあたりは緩斜面と急斜面が入り組んでいて、妻と別れて一人で上級者コースを滑り、すぐまた下で合流、というようなことをしながら降りていきました。そして昼食、綺麗なスキーセンター、しかも客は少なくて席は取り放題です。雪の中を滑ってちょっと身体が冷えてきたので、快適な室内で食事ができるのも嬉しいです。

スノーベイスンのピーク  午後はまず最初に私が一人で出かけることにしました。というのも、ここから反対側に登っていくJohn Paulエリアは、その大半が上級および最上級コースで占められているからです。しかも、驚くべきことに、オリンピックで使った標高差800mの滑降コースが、圧雪されずにそのままの状態になっているというではありませんか。これはちょっと驚くべきことです。たとえば八方尾根の山頂から麓まで、まったく圧雪されていないコースを一気に滑り降りてくるということを想像してみればわかると思います。いやぁとんでもないところに来ちゃったかなあ。ともかく1本目はその滑降コースを降りてみましたが、とてもじゃないけど一気になんか降りれません。500m滑っては息を切らし、300m滑っては転びそうになり、といった繰り返しで、どうにかやっと降りてきました。続く2本目、今度はちょっと横に逸れてみます。すると、アメリカのスキー場ではよくあることですが、林の中が滑り放題。35度以上ありそうな斜面をみんな好き勝手に降りています。なにせ日本ではこんなところを滑り慣れていませんので、木に衝突しないようにするだけでアップアップです。こうして2本目が終わったところでもうヘトヘトでしたが、更に3本目、今度は滑降コースと林の中のコースを適当に織りまぜて滑りましたが、相変わらずとても綺麗に滑るところではなく、それでも日本では味わえない体験を満喫し、John Paulエリアはもうお腹いっぱい、という感じで降りてきました。

 そこからは妻と合流してNeedlesエリアをちょこまかと滑ります。すると雪が止み、うっすらと青空が見えてきました。雲が晴れたむこうには、John Paulの山頂が見えています(写真参照)。綺麗な景色まで見られたことで今日はもう大満足。ほどほどのところで上がることにしました。スキーセンターのお土産屋さんをちょっと覗き、レンタルのストックを返して駐車場へ。あとは来た道を戻るだけです。途中どこかで御飯でも食べていこうかと思いましたが、これといった店も見つからず、結局この日の夕食はホテルのレストランで取ることに。飛行機のクルーもよく使うホテルらしく、食事のレベルは及第点でした。もっとも、食後に入ろうとした屋内プールとジャクジーは、あまり使う人がいないようで、メンテナンスも今いちでしたが。


 第3日:スノーバードに進む


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