ゲレンデ1

第4日:ザ・キャニオンズ (2002/12/27


●市街地からリゾートへ

連絡用ゴンドラ  朝おきると随分気分が良くなっていました。ちょっと迷いましたが、無理をしなければ今日も滑れそうです。そして4日目の朝、空港そばのヒルトンをチェックアウトしました。今日はこのままスキ−場に行き、一日滑ってから次の宿にチェックインします。これまで市街地から一日ごとに単発のスキー場に行くという感じでしたが、今日からは、ゲレンデが見えるリゾートのホテルに泊まり、いかにもスキーに来たという雰囲気を味わうつもりです。今日の目的地はザ・キャニオンズというところで、日本ではあまり知られていませんが、割と最近拡張されたようで、このあたりでもトップクラスの規模を誇ります。そして今日から泊まる宿は、パークシティという街にあります。街の周辺には、ザ・キャニオンズの他に、街と同名のパークシティ、そしてディアバレーといったスキー場が並んでいます。ソルトレイクシティからは車で30分ぐらいでしょうか。

 宿を出たら、まずは勝手知ったるCanyon Sportsへ。実は昨日立ち寄ったときに、ザ・キャニオンズのリフト券が安く買えることに気付いていたのです。ちゃっかり節約をしたらハイウェイに乗り、峠を越えて山の反対側に出ました。湖(Great Salt Lake)も見えなくなり、あたりの雰囲気もリゾートっぽくなってきました。サブウェイで朝食を取り(思いがけず美味しかった!)、先に進むと最初に見えてくるのがザ・キャニオンズです。

 ここの駐車場には面白いものがあります。写真にも写っていますが、駐車場とスキーセンターの間を平行に移動する、カゴのような開放型のゴンドラがあるのです。こりゃ面白いわとこれに乗ってゲレンデに向かいました。さて、ここでゲレンデマップを広げて今日の予定を考えます。今日はとにかく体調優先で、最上級コースには絶対に行くまいという誓いをたてて臨んだのですが、幸いこのスキー場は中級コースが中心で、上級・最上級を避けてもほぼまんべんなく滑ることができそうです。ここのレイアウトは昨日のスノーバードとは逆で、縦に滑る超ロングコースは無いのですが、とにかく奥またその奥と、横にコースが連なっており、移動が大変です。日本でいうと、ルスツ高原とかアルツ磐梯なんかにちょっと似ていますね。ですので、とにかく一番奥のコースを目指して移動していくのが最初の目標ということになりました。

林間コース  移動用のゴンドラを降りたところが実質的なスキー場の入口で、リフト券売場やホテルなどがあります。どの建物も新しそうですが、周囲の景色とのバランスが良く考えられています。さて、ゴンドラ乗り場を探してウロウロしていたら、案内所のようなものがあったので、さっそく聞いてみます。「あっちだよ」と親切に教えてくれた後で「ところでディアバレーのリフト券が$20で買えるんだけど、ちょっと話だけでも聞いてみないかい?」と言うではありませんか。ディアバレーといえばリフト券が高いので有名なところです。これはラッキーかと思いましたが、ちょっと怪しい気もします。ううむ、と悩んだすえ「今はとりあえず滑りに行きたいんで、夕方でもいいですか?」と聞くと「もちろん」とパンフレットを渡してくれました。で、ゴンドラ駅でパンフレットをよく読んでみると、「別荘のセールストークを90分聞いてくれた方にはディアバレーのリフト券を$20で進呈」とのこと。なるほどそういうカラクリだったのか。旅行中の貴重な時間を90分も無駄使いはしたくないので、あっさり却下です。でも、市民権もない、たまたま一年間だけ住んでいる日本人が、リフト券欲しさに別荘のセールストークを聞きにいったら、いったいどんな対応をされるのか、ちょっと面白かったかもしれません。

 さて、ゴンドラで登った先は、山のてっぺんではなく、いくつかのピークに挟まれた盆地のようなところでした。イメージとしては、サンアルピナ鹿島槍とか川場、神立のような感じですね。そこにレストハウスがあり、四方にリフトとコースが伸びていっています。このあたりは地形が入り組んでいて、ゲレンデマップを見ただけではちょっと想像できないようなレイアウトです。周囲を見渡し「なるほどこうなってたのか」なんて思いつつ、奥の方に向かうコースに進みました。スキー場が横に広がっているので、まず1本滑ったら、そこから次のピークに登るリフトに乗り、その向こうへ降りていくコースを滑ったら、また登っていくリフトに乗り、そんな繰り返しで少しずつ奥に向かっていきます。そしてこのスキ−場の特徴は、コースが木々に囲まれているということ。写真を見ていただければわかりますが、ちょっと日本っぽい雰囲気ですね。そうしてようやく一番奥のリフトに到着。リフトとコースには、"Dreamscape"という、なんかパソコンのソフトみたいな名前がついています。さすがにこれだけ奥まで来ると、スキーヤーも少なく、奥座敷といった感じで落ち着いて滑ることができます。

 ここから今度は中央へ戻っていきます。途中でアメリカ人の青年に声をかけられ「Dreamscapeへはこの道でいいんですか?」と聞かれたのですが、残念ながらDreamscapeへの分岐は過ぎた後。「分岐は過ぎちゃったから、こう行って、このリフトに乗って、それから○○というコースを滑って、別のリフトに乗って……」この青年も、複雑なレイアウトの犠牲になってしまったようです。

●ザ・キャニオンズは広かった

リフト  中央エリアに戻ってきてランチをすませたら、恒例の午後いち単独行動タイム。今日は控えめに滑るつもりだったのですが、天気もいいし、体調も戻ってきたので、調子にのってクワッドリフトに乗ってしまいました。それほど長いリフトではないのですが、山頂からは中級コースと上級コースが数本ずつ伸びています。さあ中級コースへ、と思ったのですが、リフトに沿って戻っていくコースが、尾根沿いでいかにも景色が良さそう……ということで、行かないと誓ったはずの上級コースに入ってしまいました。さてこのコース、実は斜度はたいしたことなかったのですが、どうやらちょっと雪不足のようで、途中からブッシュが出まくっています。昨日のスノーバードとは、また違った意味でのサバイバルになってしまいました。こんなことならおとなしく中級に行っておけば良かったかなあ、と思ったところでランチを取った場所に戻ってきました。ここで無事妻と合流です。

 さて、午前中は麓から見て左側のコースをひと通り滑り、午後いちは正面、となると残っているのは右側のエリアです。ここにはピークが三つあるのですが、その手前に谷があり、まずはそこを連絡リフトで越えなければなりません。"Lookout"という名のリフト(右の写真)で谷を越えて、まずは一つめのピークに到着、そこから隣りの谷に滑っていったところが、二つめのピークに登る"Snow Canyon"というリフトの乗り場です。これに乗ってSnow Canyonのピークに登ったら、そのままリフト沿いを滑り、リフト乗り場も過ぎてもう少しいったところが"Super Condor Express"という長いクワッドリフトの乗り場です。さあこれに乗ったら全エリア制覇、と思ったら………。リフトが動いていません。時計を見ると3時30分過ぎ。夢中になっていて気付かなかったのですが、タッチの差で最終のリフトを逃してしまったようです。がんばって端から端まで滑ろうと思いましたが、さすがにこのスキー場は広く、滑り切れませんでした。いつかまた滑りに来られるかなあ………。

 あとは駐車場に戻るだけです。そのまま滑って戻れるかと思ったのですが、到着直前でわずかな登りがあり、短いロープトウが架かっています。地図を見直してみると、確かにそう書かれていますねえ。なにしろ最終のリフトの時間、みんながこのコースから戻ってきますので、このロープトウが今日一番の大渋滞になってしまいました。20mかそこらなので、歩いて登っている人もいます。まあ急ぐわけでもなし、我々はそのまま列に並びましたが。さて、滑りきって板を脱いだら、"Krispy Kreme"というドーナツ屋さんで休憩します。実はこのお店は、ピッツバーグ在住の我々がこよなく愛する美味しいドーナツチェーン。美味しい御菓子を見つけるのが難しいアメリカで、まさに「口の中でとろけるような」ドーナツが食べられるのです(本当は工場併設の店鋪でできたてを食べるのが最高なのですが)。これで満足して駐車場に戻り、そこからは5分ぐらいでホテルに到着しました。

 昨日までの宿と違って、お客さんはスキーヤーばっかりだし、いかにもリゾートホテルという雰囲気です。温水プール&ジャクジーも賑わっています。なにより、すぐ目の前にスキ−場が見えているのがいい感じです。おまけに屋内ガレージ付きで、車が雪に埋もれる心配もありません。で、チェックインして一息ついたら、ジャクジーで疲れを取ったあとに夕食へ。お店が並んでいる賑やかな通りまでは1kmぐらい離れていますが、無料のシャトルバスが頻繁に走っているので、それに乗っていくことにしました。夕食はパンフレットで見つけたベトナム料理店、それからちょっとお土産屋さんを覗いたりして、帰りもシャトルバスで戻ってきました。うーん、やっぱりスキー旅行の夜は、こういう雰囲気がいいですね。Radisson Hotelの夜はいい感じで更けていくのでした。


 第5日:ディアバレーに進む


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