三連ゴンドラ

世界最大のスキー場・ヴァルトラン編 (2004/3/9)


●快晴!

トーネットから  谷の両側から分厚い斜面が被さってくるメリベルの村は、晴れていてもそれほど明るい感じはしません。まして朝早くだと、太陽はまだ山の影。けれども視線を山稜にあげると、山と空を分ける稜線がくっきりと輝き、その向こうに真っ青な空が。トロアヴァレー二日目、まさに抜けるような快晴です。

 これは朝寝坊なんかしてる場合ではありません。急いで朝食をすませて9時前に出発。迷うことなくトロアヴァレー全山二日券を購入し、昨日と同じTougneteのゴンドラに乗り込みました。山頂駅で降りると、さあ反対側の谷に向かうぞ、と進んでいきます。するとそこに現れたのは、この写真のような、まさに目を見張る絶景です。メリベルのある谷とは違って、こちらヴァルトランの側の谷は、広くて開放的で、白い山々に太陽の光りが降り注いで輝いています。ああ、もうこの一瞬だけのためにウン十万円払って来た甲斐があった、そう感じる瞬間です。さあ、この谷へ向けて滑り出しましょう。

●レ・メニュエールを一気に横断

レ・メニュエールのコース レ・メニュエールのコース  今日は、とてつもなく広いこのトロアヴァレーをどんどん移動していきますので、混乱しないように地図を見てみましょう。図の中で茶色い線で示されているのが尾根で、その間にそれぞれのスキー場があります。これまでにも説明した通り、トロアヴァレーは三つの谷から成り、メリベルはその中央に位置しています。一方、麓から見て一番右側の谷には、手前にレ・メニュエール、奥にヴァルトランという二つのスキー場があります。Tougneteゴンドラの山頂駅は、レ・メニュエールの中でも一番手前側にあたりますので、ここからヴァルトランを目指すためには、降りたり登ったりを繰り返しながら、少しずつ奥に進んでいくことになります。さて、まずは山肌を斜めに降り、レ・メニュエールの中心部を目指します。コースの左側からは、時折何本かのコースが合流してきます。その間のオフピステのエリアを滑っている人も見かけます。そしてコースの右側は、大きな谷と、その向こうに連なる白い山並です。

レ・メニュエール  そんなコースを下りきると、レ・メニュエールの中心部、大きな建物が並んでいます。中心部からは、四方八方にリフトやゴンドラが伸び、それが二重三重の立体交差になったりしています(右の写真)。ここから建物の間を抜けて谷の反対側に行けば、そこからゴンドラ2本で登る別の山があるのですが、そっちまで行くと今日中に帰れなくなってしまいそうで、残念ですが今回は見送ります。ヴァルトランに向かうためには、いま滑ってきた側の斜面を更に奥に向かって登るゴンドラかリフトに乗らなければなりません。ところがゴンドラ乗り場を見ると長蛇の列。どうやらこの好天で、このあたりのホテルに泊まっている人達が一斉にヴァルトランを目指しているようです。この列に並ぶのはちょっと気が進まないので、短かめのリフトに乗って移動。しかしその先に進むクワッドリフトにもやはり列が。どうしようかと思って地図を見ると、空いていそうなリフトだけで行けるルートが一つだけみつかりました。途中に一ケ所だけ上級者コースがあるのが心配だったのですが、とりあえずそちらに向かってみます。するとリフトの上からその上級者コースの様子が見え、実は全然難しそうではないことが判明。それどころか、そこに平行するExpert Onlyのコースすら、多少コブがあるとはいえ、日本でいう中級者レベルで何とかなりそうです。うすうすそうじゃないかと思ってはいたのですが、ここに至って一つの重大な事実が発覚しました。「トロアヴァレーのコースレベル表示はあんまり当てにならない」コースレベルの判定には、どうやらコブの有無というのが大きく影響しているようなのですが、いずれにせよ驚くほど簡単な上級者コースや、逆に結構な斜度の中級者コースがあったりして驚くことも何度かありました。まあそれはともかく、せっかくだからとExpert Onlyの方を降り、ゴンドラの中間駅にうまく合流すると、ようやく"Mont De La Chambre"というピークに到着しました。

 

●トロアヴァレー最高地点を目指して

 ヴァルトラン全景  "Mont De La Chambre"は、メリベル、レ・メニュエール、ヴァルトランの三つのスキー場が接する重要地点。ここからどのスキー場へも滑り込んでいくことができます。また、ここからヴァルトランの方角を眺めると、そのおおまかな姿を把握することもできます。ここは、メリベルやレ・メニュエールの側から見るとほとんど最高標高地点なのですが、ヴァルトランのゲレンデは更に標高の高いところに広がっています。目の前に500mぐらい下ったところにホテル群があり、その向こうには再び標高差900m以上のゲレンデが広がっているのです。

 まずはそのホテル群を目指して滑り降り、そこからリフト1本だけ手前に戻ったところで昼食を取ることにしました。天気が良いのでみんなテラスに出ていますが、日和った我々は建物の中で食事。先の行程のことを考え、食後の休憩もそこそこに出発します。まずは谷底まで降りると、反対側に向かうリフト、更にその先のロープウェーに乗り継ぎます。山頂駅は尾根の上、とうとうトロアヴァレーの一番端までやってきました。"Breche De Rosael"というところです。(ホントは最後のeに点々がついている)ここから振り返ると、この写真のようにヴァルトランの全景を見ることが出来ます。

 ところが、実をいうとここが本当の端ではありません。トロアヴァレーといいながら、この先の四つめの谷にもちょっとだけコースがあるのです。しかもこのエリアに、実はトロアヴァレー最高地点、標高3230mのポイントがあるのです。これを見逃す手はありません。奥のコースへ進む道はちょっと連絡が悪く、スケーティングでしばらく行かなければならないのですが、その先で尾根の反対側に出ると、これまた雰囲気が一変します。険しい山に囲まれた独特の雰囲気(1ページめのタイトル写真はこのあたりで撮りました)の中を降りて行きます。降りきったところには、反対側から登ってくるゴンドラの駅があります。実は、トロアヴァレーといえばアルベールビルの側が入るのが一般的なのですが、反対の麓からもこのゴンドラを使って入ってくることができるのです。もっとも普通の日本人にはどう転んでも縁のないルートだとは思いますが。

 体力の限界が近づいている妻はここで休憩。その間に、私はリフト2本、標高差にして930m分を一気に登って最高地点を目指します。リフトが遅くて、こんなペースで今日中にメリベルまで戻れるのかと心配になったりしながら、どうにか到着しました。もっとも、リフト降り場は山の中腹にあり、残念ながら山頂からの大パノラマという感じではありませんでしたが、それにしても、「あー、はるばるこんなところまで来たなあ」と感慨ひとしおです。日本からトロアヴァレーまでもはるばるなら、メリベルの麓からこのリフトまでもまたはるばるという感じでした。とはいえ感慨に浸っている時間もありません。930m分を一気に滑り降り、妻と合流して再びヴァルトラン中心部へ戻っていきます。

ホテル越えリフト  再び"Breche De Rosael"に到着。最上級コースへの降り口は目の前にあるのですが、同行者のことも考え中級コースへ。そのためには5分ばかり歩かなくてはなりません。今回、トロアヴァレーのリフトレイアウトで唯一不満が残ったのがこの場所でした。ともかくその先はヴァルトランのホテル群を目指して中級コースをクルージング。右手には別のピークへ向かうリフトやゴンドラが何本も見えているのですが、それらは次回のお楽しみ。とにかくメリベルに戻る最終のリフトまであと1時間ぐらいですので、余裕を見て帰途につきます。長い中級コースを滑り切ると、反対側の斜面に登るリフトに乗車。このリフトは珍しく、写真のようにホテル街の上を越えて進んでいきます。さらにその先では、これまた珍しい三連のゴンドラ(一番上の写真参照)に乗車します。こうして3時間ばかり前に通った"Mont De La Chambre"に到着。ここからMeribelに戻るのは上級コースしかありませんが、みんなが帰途に着くこの時間、左右を見ると下手な人もいっぱいいるようで、まあ何とかなるでしょう。しばらく降りると昨日通った見覚えのあるコースに入り、あとは連絡コースを辿って無事にメリベルに戻ることができました。

 トロアヴァレー滞在二日目は、レ・メニュエールとヴァルトランの二つのスキー場を一通り滑ることができました。滑り残したコースは山のようにありますが、それは次回に取っておくとして、明日は反対側の谷、クールシュベルに行く予定です。

 さすがにこれだけ滑って疲れたので、アフタースキーはおとなしくしていることにします。Hotel Doronの一階にあるパブで、一度ぐらいは食事を取ってみようということになりました。酒のつまみぐらいしか無いかと思ったら、ハンバーガーやら(なぜか)春巻やら、いろいろ美味しくてビールも飲めて満足。時間が早かったせいか、大カラオケ大会はまだ始まっていませんでした。そのまま部屋に戻ってほろ酔いのまま眠りにつくと、ようやく大合唱の声が聞こえてきましたが、私はそのまま眠りに入ってしまいました。


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