ヴァヒネアイランドリゾート

その7:ヴァヒネ編 (12/27〜29)


●フアヒネからライアテア経由タハアへ

 12月27日、朝食後しばらくして、たのんでおいた迎えのバスが来ます。相変わらずハイテンションなオーナーのあんちゃんに別れを告げ、そのまま空港に直行します。今度はライアテア島へのフライト、エアータヒチの小さな機体にも慣れてきました。ライアテア島まではたいした距離ではなく、約10分で到着です。ライアテア空港のターミナルの横には小さな船着き場があり、ここに今晩の宿であるヴァヒネ・アイランド・リゾートの迎えの船が来ているはずなのですが、姿が見えません。宿に電話してみると、「そっちに向かってるはずだからそろそろ着くよ」とのこと。なるほどその直後に迎えの船がやってきました。

 タハア島は、ライアテア島のほんの目の前にあるのですが、私たちの船は、そのタハア島の横を通過して、ラグーン内の小さなモツに向かいます。このあたりの島々の中では最も観光化されていないタハア本島にもいつか行ってみたい気はしますが、今回はとりあえず見るだけです。そして約40分の船旅で、タハア本島には足を踏み入れることなく、ホテルに到着しました。

●ヴァヒネ・アイランド・リゾート到着

ヴァヒネの風景1  さて、これから3日間を過ごすヴァヒネ・アイランド・リゾートは、実は私がこの旅行で一番期待していたところであります。もともと観光客のあまり行かないタハア島の、それも小さなモツにあり、部屋数はわずか9。これといったアトラクションは何もないけど、とにかく日常から隔絶した時間を過ごすには最高のロケーションのようです。

 このホテルを取り仕切るのは、オーナーらしき男性とその助手、それにオーナーの奥さんらしい女性の3人。みんな若くて30代前半ぐらいに見えます。ホテルに着くと、食事の時間などについて簡単な説明を受けた後、部屋に案内されます。今回我々が泊まるのはビーチバンガロー。何だか思ったより狭い感じです。部屋に鍵がないのは、外界から遮断されたこの島ならではというところです。うーんまあこんなもんかと思いつつ荷ほどきをして、あたりを散歩してみます。モツはゆっくり歩いても10分もかからずに一周できる程度の広さ。本島を向いた側に3つの水上バンガローが、反対の外洋を向いた側に6つのビーチバンガローがあります。水上バンガローは、ビーチバンガローと違って十分な広さがあり、いかにも快適そう。でも景色という点ではビーチバンガローが勝ってるかな、なんて思ってちょっと自分を慰めたりなんかして。そうこうしてるうちにお腹が空いてきたので、食堂で簡単なランチを取ります。今日のお客さんは6〜7組ぐらい。とにかく人が少ないので、すぐに顔見知りになってしまいます。アメリカから来た若い新婚さんとか、フランスから来た家族連れもいます。妻(いちおう仏文科卒)が片言のフランス語で話し掛けると、嬉しそうに返事をしてくれました。

ヴァヒネの風景1  午後はバンガローに戻ってシュノーケリング。バンガローのすぐ前が海なので、泳ぐのに関しては水上バンガロー並に便利です。ただ、ここは外洋とつながるパスがあり、波がかなり強いのが難点です。泳いでも泳いでも進みません。もっともここの海はとても浅いので、ちょっと泳いでは歩き、またちょっと泳いでは歩きの繰り返しなのですが。モツの反対側にある水上バンガローのあたりに行くと波はまったくなくなるのですが、このあたりは更に浅瀬になっており、シュノーケリングにはちょっと物足りない感じです。で、ちょっと趣向を変えて、二人乗りのアウトリガーカヌーに乗ってみることにしました。アウトリガーというのは、カヌーの横にサイドカーのように棒がつけられていて、浮きのような役割をしているものです。さっそく水上バンガロー付近の海に繰り出してみたのですが、どうも思うように進みません。片側にしかアウトリガーがついていないせいか、片方向にばかり曲がり、同じ場所をぐるぐると回ってしまいます。そうこうしているうちに少しは沖に出たのですが、今度はぐるぐる回って戻れなくなってしまいました。ちょうど水上バンガローから泳ぎに出ていた人が、笑いながらカヌーを押してくれたりします。それでもなかなか思った方向に進まず、「乗る位置が悪くて重心がおかしいのかなあ」などといってカヌーの上を歩き回ると、おっとっと、ってな感じでカヌーが揺れて水が入ってきたりします。結局「どうせ足がつく深さなんだし」ということで、私がカヌーを降りて方向修正。あたふたしながらようやく岸にたどりついた時には、カヌーの中は水びたしでした。

 夕方になると、タハア本島が夕陽で赤く染まり、なんともいえない絶景です。それから夕食。このホテルの夕食は、孤島の小さなホテルとは思えない立派なフランス料理で特筆するに値します。ワインを飲みながらの食事を満喫してくつろいでいると、「岸に鮫が来てるよ」とのこと。見に行ってみると、全長1mぐらいの小振りの鮫が何匹か行ったり来たりしています。とまあこんな感じでヴァヒネ・アイランドの夜は更けていったのでした。

●ヴァヒネ・アイランド・リゾートを満喫

ヴァヒネの風景2 ヴァヒネの風景2  翌朝。特にすることもないので朝寝。なんだか徐々にこのバンガローが快適に感じるようになってきます。周囲の景色の美しさは言うまでもなく、わずかな人数のゲストだけで過ごすこの島の生活に、このバンガローが合っているような気がしてきました。今日いちにち、特にアクティビティーなどに参加する予定はありません。水着に着替えてバンガローの前の海にちょっと入ってみたり、テラスで読書をしたり、ただのんびりしているだけのことが何より快適です。読書をしながらふと海の方を見ると、遠くにボラボラ島・オテマヌ山の姿が見えます。ボラボラ島にいたときは、随分日常から隔離されたところだと感じたけど、ここに来てみると外界との隔絶感がもう一桁違います。昼食を挟んでひたすらのんびり。読書・水泳・散歩の繰り返し。こうして旅行記を書いていても、何も思い出せないほどボーッとしたままで一日が過ぎてしまいました。でも、いつのまにか今回の旅行の中でもこのビーチバンガローがいちばん愛おしく感じられるようになっていたのでした。夕食も昨日とはまた違ったメニューで飽きさせず、我々は食事とこの島の生活にたっぷり満腹感を感じつつ床についたのでした。

 あっという間に三日目の朝です。この日は早起きしてレストランで朝食。夕食があまりに美味しいので、朝寝坊の私たちが予定を変更して、朝食も食べてみようということにしたのです。朝食は普通のメニューでしたが、期待に違わぬ美味しさでした。それから、午後のチェックアウトまで、再び何もしない時間を満喫します。朝をしっかり食べたので、昼食はあり合わせのもので軽くすませ、とうとうチェックアウトの時間になってしまいました。来たときと同じ船に乗り、名残り惜しいヴァヒネ・アイランド・リゾートの桟橋を離れます。桟橋では、オーナーと助手の二人が手を振って見送ってくれていました。


 タヒチ本島編に進む


戻る / 旅行記の表紙に戻る