第六日

2015/2/20

第六日の行程

国土地理院発行の地理院地図(電子国土Web) を元に加工(2015)

今日は晴れるはずである。晴れてもらわないと困る。

スキー旅行に行くと、天気予報に敏感になるのは必然である。今回の旅は初日を除いてパッとしない天気だったが、「20日金曜日は晴れるでしょう」と天気予報でも言っていた。その日に大山スキー場を訪れる日程になったのは半ば偶然ではあるが、それでもここ数日は、ずっとこの日を楽しみにしていた。

海が綺麗に見えるスキー場は、それほど多くない。私が行った中では、札幌から小樽にかけての石狩湾が見えるスキー場がいくつか。あとは青森のナクア白神とか新潟のキューピットバレイとかで、遠目に日本海が見えるぐらいではないか。しかし大山スキー場から日本海が綺麗に見えるであろうことは、地図を見るだけでもよくわかる。もちろん「晴れていれば」という条件付きだが。

気もそぞろに、朝7時には米子を出発した。山陰道の無料区間を米子東ICで降りてからは、大山観光道路という道をひたすら進む。大山は綺麗な独立峰で下の方はなだらかだが、円錐形のその斜面を山頂方向に直線的に登っていくので、思ったよりも急勾配である。それでもとにかく真っすぐ進み続けたら、7時半には駐車場に着いた。スキーシーズン以外には、霊峰伯耆大山の参拝客や登山客なども多いのであろう。昔ながらの旅館街といった佇まいである。

だいせんホワイトリゾートの連絡リフト

スキー場は、旅館街からは少し高くなったところにある。ちなみに以前は大山スキー場というのが正式名称だったようだが、今は「だいせんホワイトリゾート」と名乗っている。駐車場から少し歩いたところに連絡リフト乗り場があり、スキー客は全員このリフトでゲレンデに向かうことになる。登った先の様子がわからないのでスキーを抱えて乗車したが、実際にはスキーを履いていても大丈夫だった。でもまあ降りたところはゲレンデというよりは道である。

リフト営業開始時刻まで、あと20分もある。ゲレンデマップを見ながら考えた。横への移動が大変そうなスキー場なので、時間があるうちに奥へ移動しておくのが良さそうだ。連絡通路というところでスキーを履き、スケーティングを始めた。前方では、出勤する職員らしき人が何人か歩いている。ここは何というか不思議な空間で、普通のスキー場ならゲレンデではなく道路として扱われるはずである。ただ、連絡リフトより上は関係者の車しか入れないので、安全上の問題もなく、スキーを履いたまま進むことが許されているのだろう。

だいせんホワイトリゾートは、豪円山・中の原・上の原・国際の4エリアで構成されている。連絡リフトを降りて最初に目に入るのが豪円山エリアだが、ここは中上級コースのリフトが撤去され、短い初級者コースが1本あるだけである。次にあるのが中の原と上の原だが、この二つは同じ斜面の右側と左側に別の名前を付けているだけで、なぜわざわざ別のエリアとしているのか良くわからない。これらのエリアを抜けると谷があり、その向こうが国際エリアである。ここまでの移動はかなりしんどい。国際エリアに入ったら短いコースを1本滑り降りて、そこにあったリフト券売り場で1回券を6枚買った。半日券なら3,700円だが、10回乗らないと元が取れないので微妙なところである。

ぼちぼちリフトが動き始めたので、まずは一番奥まで滑り込んでK9号リフトに乗る。そこからK7号リフトに乗り継げば山頂近くまで行けるはずだが、こちらはまだ動いていない。8時30分営業開始ということなので、チャンピオンコース下部を滑って再度K9号リフトに乗り、最後は5分ばかりリフト乗り場で待った。

K7号リフトは一番乗りということになる。スキー場最上部までは行かないのが残念だが、その直下数十メートルのところまで連れていってくれる。リフトを降りて振り返ったら、まさに息を呑むような眺めがあった。日本海が見えている。左の方には、境港に向かって伸びる弓ヶ浜がある。

だいせんホワイトリゾート(1)

写真を撮ろうと待ち構えていたら、上の方からパトロールの人がやってきた。「せっかくだから、どうぞ1本目を滑ってください」と言ってくれる。「いや写真を撮りたいので」と譲ろうとしたが、「いえいえ構いません」とリフトの方で待っていてくれた。そこから滑ったチャンピオンコース上部の気持ち良さといったら、アルプスやロッキーの有名スキー場を滑ったときにも、決してひけを取らないぐらいだ。

同じコースをもう1本滑ったあと、今度は本当にスキー場最上部まで登ることのできる、センターフォーリフトに乗りに行く。こちらは9時開始ということで再び待つ。ちなみにこのリフト、フォーという名前なのに高速ペアリフトということでややこしい。また、このリフトだけは1回券が2枚必要なのだが、この時点で予定が若干狂っており、帳尻合わせに1回券1枚を追加購入した。ともかく、9時ちょうどに動き出したリフトに乗って山頂へ。こちらからの景色も、負けず劣らずである。さっきよりはもう少し弓ヶ浜が綺麗に見えるようになった。

だいせんホワイトリゾート(2)

ここからはリーゼンコースを滑り降り、その後は連絡通路を歩いて上の原に戻る。山頂へ向かうトリプルリフトの乗り場が、連絡通路よりちょっとだけ上にあるのが悔しい。ずっと下まで滑ってペアリフトに乗れば楽に乗り継げるのだが、時間もお金ももったいないので歩いて登る。今日は歩いてばかりだ。それでも上まで登るとまたしても綺麗な景色を眺めることができて満足である。そこから中の原の方に滑っていき、あとは連絡リフト下り線で戻るだけだ。今度はスキーを履いたまま乗ろうと思ったら、乗り場で「板は外して下さい」と言われた。

Snow

このあとの予定だが、鳥取県西部の大山地区および岡山県北部の蒜山地区に、あと5つのスキー場が残っている。県境をまたぐとはいえ、さほど広くない範囲に固まっており、それぞれのスキー場もあまり大きくないので、余裕をもって廻れそうだ。時間が余れば、さらに東にある恩原高原にも行けるかもしれない。そして今夜は、一気に瀬戸内海を渡って香川県に泊まる予定である。夜にはスペシャルイベントも組み込んである。

まずはすぐ近くの大山ますみず高原に向かう。ホワイトリゾートから枡水(ますみず)までは、大山環状道路という道が冬でも通れるため、ほんの10分程度で着く。駐車場からゲレンデ側を見ると、大山が美しい姿を見せていた。

大山ますみず高原(大山)

だいせんホワイトリゾートでは、地形の関係もあってか、大山そのものはこんなに綺麗には見えなかった。これは思わぬ拾いものである。さっそくリフト券を買って乗車。リフト1本分のコースしか無いが、上からの眺めはホワイトリゾートにも負けていなかった。下から見た大山の眺めといい、眺望という点だけで言えば、甲乙つけがたいのではないだろうか。おまけにここはナイター営業があり、夜景もなかなかのものらしい。

大山ますみず高原(パノラマ)

滑走そのものはすぐに終わってしまったが、幅の広いコースで、眺望に気を取られても安心して滑ることができた。思いがけない拾い物のスキー場であった。

続いて、次の奥大山スキー場へは、大山環状道路をそのまま進めばすぐなのだが、残念ながらこの区間は冬期通行止めである。いったん国道181号に戻り、直線距離5kmぐらいのところまで30km以上走って行く。まずはいったんググッと標高を下げ、国道181号から国道482号へと続く道は、昨日のひるぜんベアバレーからの帰り道を逆向きに進む。そこから再び上り坂が続き、11時ちょっと前に奥大山に到着した。

奥大山

大山の裾野にある三つのスキー場は、北斜面にだいせんホワイトリゾート、西斜面にますみず高原、南斜面に奥大山という位置関係になっている。日本海は北側なので、奥大山まで来てしまうと全く見えない。また、綺麗な円錐形をしている大山だが、東から南東にかけてだけは若干いびつなところがあり、奥大山スキー場から見えるのは枝分かれした別の峰である。そんなわけで大山らしい特徴は感じられないが、だからといってスキー場として劣るというわけでもない。少し南斜面のわりに雪質が良いのは、ここ数日の大雪のためだろうか。

駐車場からゲレンデに出る。ゲレンデの入口がちょっとわかりにくい。また、スキー場直営らしいエバーランド奥大山というレストランがあるのだが、そこからリフト乗り場までがやけに離れている。ゲレンデマップによると、この隙間が初心者ゲレンデということだが、傾斜のまったくない単なる広場であり、さすがに初心者でも困るのではないか。そしてその上は、すっかり見慣れたリフト縦2本のレイアウト。下のリフト沿いには初級者コース1本。上のリフトを使えば3種類のコースがあるようだ。

1回券3枚を買ってリフトに乗る。そのまま山頂まで行って、まずは「壁コース」というのに行ってみることにする。ゲレンデマップを見ただけでは入口がわかりにくいが、女良谷コースの途中から林に入っていった跡がある。そのままトレースしていけば良いかと思って行ってみたが、これがなかなか強烈だった。スキー板2本分の幅ギリギリしかない道で、しかも上に伸びる木の枝にあたらないよう、時々頭をかがめながら進まなくてはならない。横はずっと下まで続く崖である。緊張のトラバースが続くと、ようやく「壁」らしいところに着いた。確かにそう呼びたくなるような急斜面ではあるが、ここまで来るコースの大変さのおかげで、ずいぶん楽な壁だと感じてしまうほどだ。

次は木谷コースだと思ってリフトに乗ろうとしたら、係員のおじさんが「まだ時間あるでしょ」と言ってリフト1回券を返してくれる。昨日の花見山に続くサービスだ。おかげでその後もう一回リフトに乗り、女良谷コースまで滑って全コース制覇である。

鏡ヶ成

次の目的地である鏡ヶ成までは、再び大山環状道路を走る。ここは休暇村奥大山の一部だ。休暇村のスキー場といえば、網張温泉と乗鞍高原は別格として、田沢湖や妙高などリフト1本の小さなものが思い浮かぶが、ここもまさにその範疇である。リフトはもともと2本あったような痕跡があるが、そのうち1本は支柱しか残っていない。そのリフトを使えば少しは手応えのあるコースが滑れそうに見えるが、実際に営業しているのは短い初心者コース1本である。ゲレンデからは、目の前に休暇村の宿泊棟が見える。その向こうに見えている山(烏ヶ山というらしい)の左奥あたりが、さきほど滑ってきた奥大山のはずである。

当たり前のように1本だけ滑って撤収し、次の上蒜山へ。驚くことにこちらも休暇村である。県境をまたぐとはいえ、直線距離で8kmぐらいしか離れていない。しかし直行する道が再び冬期通行止めで、もう一度国道492号に戻る。国道を逸れてスキー場へ向かうと、左手に派手な遊園地が見えてきた。「ヒルゼン高原センター・ジョイフルパーク」というらしい。初めて聞く名前だが、外からみた感じでは結構本格的で、ジェットコースターや観覧車もあるように見える。お客さんはどのあたりから来るのだろう、などと訝しんでいるうちに、上蒜山スキー場の駐車場に着いた。

上蒜山

しかしゲレンデは見えない。唯一見えているのは、舗装された細い一本道の上り坂である。スキーを担いで降りてくる人がいる。どうやらここを登らなければならないらしい。まったく今日はよく歩かされる日だ。

かなり急な坂を200mぐらい登ると、ゲレンデが見えてきた。やたらと横に広くて、それ以外は特徴のないゲレンデだ。休暇村の一部のはずだが、近くに宿泊施設は見えない。ここでも迷うことなく1回券1枚だけを購入してリフトに乗る。山頂からは、蒜山高原が広く平らに広がっている様子が見える。リフトはそこそこ長いが、コースの斜度はほとんど無い。

滑り終わったら、今度は下りの坂道を歩いて駐車場へ。次の津黒高原までは約26km。ナビの命じるままに進んでいくと、40分ぐらいで広い駐車場に着いた。車を停めてスキー靴を履き、ゲレンデ方向を見ると、長い斜面があるがリフトは無い。よく見るとずっと向こうにリフトが見えるので、また歩かされるのだろうか。まあ下りは滑れそうな分だけまだましか、そう思ってふと横の道を見ると、小さな看板に「平日はこの上に駐車場があります」と書いてあるではないか。慌てて靴を履き替え運転していくと、ちょっと登ったところに車数台分のスペースがあった。目の前はリフト乗り場である。

津黒高原

ここはリフト1本だけの小さなスキー場で、特に目立つ要素は何もないのだが、驚いたのはむしろネットで事前調査したときである。現在動いている唯一のリフトの横に中級コースがあるのだが、以前はもう1本リフトがあり、その横には上級コースがあったらしい。ところがそのリフトが廃止されたにもかかわらず、ウェブサイトのコース案内には、その上級コースが残ったままなのだ。さらに解説を見ると「シングルリフトが稼動していない為、ペアリフトで上ったあと、更に百数十m程度自力で登る必要があります」と書かれている。いったいどんな人たちが、この地味なスキー場で、若干斜度がきついだけの短い上級コースを滑るために、ゲレンデを歩いて登っていくのだろうか。ちなみに上の写真でいうと、正面に見えているのがリフトで登れる中級コース、林を挟んだ左側が上級コースである。上級コースに行きたい人は、この林の下まで滑ってきて、そこからコース上を歩いていくことになる。私がここにいたのは20分程度だが、そういう人を見かけることはなかった。

津黒高原を滑り終わって、早くも当初の目標を達成。時刻はまだ2時前である。これなら恩原高原まで滑れそうだ。実はほんの2日前までは、津黒高原と恩原高原は全く別の場所にあると思っていた。高速を使う場合、津黒高原の最寄インターは浜田道の湯原IC。これに対して恩原高原は中国道の院庄ICとされており、まったく違うアクセスなので、完全に別のエリアに属すると思い込んでいたのだ。ところが昨日、津黒高原について公式ウェブサイトで調べていたところ、これがやけに親切なウェブサイトで、「津山方面から来られる際には、国道179号線で人形峠を越え、鳥取県三朝町の穴鴨で国道482号線に入るルートもオススメです」なんて書いてある。最初は何のことやらわからなかったが、地図でしっかり確かめてみると、これはほとんど院庄ICから恩原高原への道ではないか。それに気付いた時点で、津黒高原と恩原高原が意外と近いということがわかり、余力があれば行けるかも、というのがオプションプランとして記憶されたという次第である。

恩原高原

津黒高原から恩原高原までは約30km。1時間もかからない。上述のように、いったん鳥取県に入ってまた岡山県に戻る。恩原高原はベースを2ヶ所に持つスキー場で、相互に滑り込みが可能なため、どちらに車を停めても大差は無いのだが、とりあえずメジャーと思われるパノラマゲレンデに行ってみることにした。

ゲレンデに出るとリフトが2本見える。正面のリフトに乗れば、やや大きめの山の上まで行けるようだ。右側のリフトは小さな尾根に登り、そこからもう一つのレイクサイドゲレンデに出られるらしい。まずは後者に行ってみる。

ここ恩原高原は、標高差は全くといっていいほど無いのだが、地形が入り組んでいて不思議な感じがするスキー場だ。尾根の上に出てレイクサイドゲレンデが視界に入ってきたときも、最初はどこがどうなっているのか全然わからなかった。ゲレンデマップと見比べてみるが、イラスト調のマップでは地形との対応がよくわからない。とにかくどこを滑っても下のレイクハウスというところに出るのは明らかなので、一番気持ちの良さそうなコースを滑ってみることにした。

下までおりるとだいぶ様子がわかってくる。そこからリフトに乗り、今度はパノラマゲレンデに戻った。最初に乗らなかった方のリフトに乗って山頂まで行くと、また違った角度からゲレンデを眺めることができて、やっと全体像が掴めてきた。そこから降りるコースは2本あるので、1本滑ってからリフトで戻ってきて、もう1本を滑ったところで終了である。

Snow

時刻は3時20分。ここから四国に向けて一気に移動を開始する。まずはスキー場のお勧めルートに従い、国道482号から179号で院庄に出る。ここから中国道〜岡山道と高速を行くのが早いのだろうが、スケジュールが順調に進んでいることに気を良くして、これなら倹約も可能だと国道53号へ。多少は近道でもある。国道53号はバイパス区間が少なくて思ったより時間がかかったが、とにかく約90kmの下道走行を経て、5時30分前には山陽道岡山ICに着いた。結局、岡山県を北から南まで一般道で縦断したことになる。昨日の給油からまだそれほど走っていないが、この後の長旅に備えて給油も済ませる。

岡山ICで山陽道に乗ったら、あとは瀬戸中央道に乗り継いで瀬戸大橋を目指すだけだ。渋滞もなく、夕方の快適なドライブである。30分もかからずに海の上に出た。瀬戸大橋である。

瀬戸大橋

あまり脇見をしてはいけないのだが、右を見ると、瀬戸内海の島々の隙間に沈んでいく夕日が見える。瀬戸内海はとにかく島が多いので、大きな海を渡っているという実感もなく、なんとなく四国に入ってしまった。そのまま高松道を西へ進む。

今夜のスペシャルイベントとは、この先にあるスノーパーク雲辺寺でのナイタースキーだ。四国にスキー場があることすら珍しいのに、高い山の無い香川県にもあるというのは更に驚きだが、徳島県との県境を成す讃岐山脈の雲辺寺山の山頂付近に、人工雪の小さなスキー場があるのだ。そこは瀬戸内海の眺めが素晴らしいらしく、ナイターでは夜景も見えるという。

そろそろ小腹もすいてきたので、少し手前の三豊鳥坂ICで高速を降りる。せっかく香川県に来たので、手軽に入れるうどん屋でもあればと思ったのだが、国道沿いにはなかなか見つからない。おまけに所々渋滞しているところもあり、ちょっと焦ってきた。しばらく進むと国道を離れるが、今度は店などまったくないような閑散としたところである。最初にナビに「雲辺寺」とセットしたときには、山頂を目指して延々と走るルートが表示されて焦ったが、実際に行きたいのはロープウェイ山麓駅である。ナビの目的地設定を修正して、それでも地元の細い道で右左折を繰り返し、何が何だかわからなくなってきたところで、いきなりロープウェイ駐車場に着いた。

雲辺寺

7時ちょうど発のロープウェイに乗って山頂駅を目指す。10分ほどで着くが、そこがゲレンデではなく、板を担いで少し歩かなくてはいけない。雲辺寺という名前からわかるように、山頂には四国八十八箇所巡りの第66番札所・雲辺寺がある。さすがに夜はいないだろうが、昼間はスキーヤーよりお遍路さんの方が多いのかもしれない。

5分ほど歩いてゲレンデに到着。入口はほぼ山頂で、ここから下っていくコースがある。ロープウェイ往復2,060円とは別に、ここで入場料1,000円を徴収される。リフトは1回券200円、一日券1,000円ということだが、かなり短いコースで1本などすぐに終わってしまいそうなので、一日券を買うことにした。

ゲレンデからは、期待通りに瀬戸内海が見える。正面右側に見える夜景は、丸亀・坂出あたりだろうか。瀬戸内海が暗くなっているところの先には、うっすらとだが対岸の灯りも見える。大山では、海が見えるスキー場の稀少性について薀蓄をたれたが、海に加えて対岸までもが見えるスキー場というのは、世界的にもかなり珍しいのではないだろうか。そして視線を左に移すと、こちらも遠くにぼんやりと夜景が見える。こちらは新居浜あたりだろうか。

滑走そのものはどうということはない。距離は短くあっという間に終わる。雪質は典型的な人工雪である。山頂付近にはわずかに積雪もあったが、ゲレンデを覆うほどに積もることは無いだろう。リフト乗り場にローディングベルトがあるのがちょっと珍しい。ともかくあとは繰り返し滑るしかない。20分に1本の下りロープウェイの時間に合わせ、結局7本ほど滑った。急ぎ足で山頂駅に戻ると、8時ちょうどのロープウェイで下山した。山麓駅付近には、もちろん雪など全く無い。

この日の宿は、善通寺市にある「お遍路宿 旅人の宿 風のくぐる」というところ。ネットで偶然見つけたのだが、なんだか楽しそうなところだ。しかし9時到着と言ってあるのであまり時間が無い。宿への道でもうどん屋さんを探してみたが、たまに見つけてもこの時間だともう閉店している。結局そのまま宿の近くまで来てしまい、情けない展開だがすき屋で夕食。とはいえ、チェックインしてみた「風のくぐる」は、期待に違わぬ個性的な宿であった。宿の主人に「お遍路ですか?」と聞かれたので、思わず「いやスキー場を廻っています」と答える。きっといろんな旅人が交流する場所だと思うのだが、これまでスキー場めぐりをするお客さんはいなかったようだ。

本日の滑走: 8スキー場、リフト25本(だいせんホワイトリゾートの連絡リフトと雲辺寺ロープウェイは除く)

本日の走行距離: 359km

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